医療・介護業界で大事な「SOAP」とは?
2022.09.21掲載
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介護・福祉業界

看護や介護の記録として、現在の日本の医療機関や介護施設などで多く使用されているのがSOAP(ソープ)です。患者や利用者のデータをもとに作成する為、苦手に思う方もいらっしゃるようです。医療、介護の現場は慌ただしい時もあり、気持ち的に難しそうな事には苦手意識が芽生えやすくなるのかもしれません。そこで今回はSOAPの意味や書き方の注意ポイントを分かりやすく解説します。また、これから医療、看護、介護のお仕事に従事することをご検討されている方にも覚えていただきたい内容になっています。

SOAP形式での記録は、適切なケアを実践できるようになる為に必要となってくるのでぜひ最後までお読みください。

 

 

◆解説!SOAPの意味と内容◆

SOAP形式での記録は、適切なケアを実践できるようになる為に必要となります。SOAPとあまり聞きなれない言葉ですがどの様な意味があるのでしょうか?ここでは、SOAPの意味と内容を解説します。

 

・SOAPの意味

SOAPとは対象となる患者や利用者の看護や介護の記録をカルテなどに記録する方法の1つです。問題思考型システムであるPOS(Problem Oriented System)の考えに沿って得られた患者や利用者のデータをもとにカルテを作成します。SOPとは患者や利用者の問題点を中心とした治療、医療、看護などの治療過程のことになります。

S(Subject)主観的データ、O(Object)客観的データ、A(Assessment)アセスメント分析・評価、P(Plan)看護・介護計画の4つの項目からSOAPは成り立っており、名称は4項目の頭文字からきています。

 

・SOAPの4項目の内容

上記でふれましたが、SOPをもとにSOAP形式でカルテを作成します。SOAP形式での記録は、適切なケアを実践できるようになる為に必要です。4つの項目の形式からなっており、下記で詳しく説明します。

 

S(Subject)主観的データ

・頭が痛い、体が熱っぽい、少し息苦しいなど、患者や利用者の感じた事への声や訴え、自覚症状などをきちんと聞き記録。(患者や利用者の家族からの情報も)

 

O(Object)客観的データ

・所見や身体診察・検査から得られた情報。

・薬を服用した時の様子や症状の有無、医療機器使用の際どのような効果が出たかなど、幅広い内容を記録。

 

A(Assessment)アセスメント分析・評価

・S(主観的データ)とO(客観的データ)情報を分析し解釈をした総合的な評価。

・現在の患者や利用者の状態、これから必要になる処置や検査、今後考えられる問題を分析する。

 

P(Plan)看護・介護計画

・A(アセスメント)をベースに患者や利用者のケアを実践する為の治療や看護・介護計画。

・患者や利用者の家族も看護・介護計画の対象になる。

 

このように、取得した患者や利用者のデータを4つの項目に分けて整理・分類して分析していきます。論理的に作成できるので、問題が起きている理由を整理し順序だてて考えられ、わかりやすく説明もできるのです。SOAP形式にまとめると、適切なケアの実施のカギとなるP(看護・介護計画)はS(主観的データ)とO(主観的データ)から導き出されます。このSOAP形式によって問題解決や援助、支援ができます。

 

 

◆書き方の4つの注意ポイント◆

SOAPをベースに患者や利用者のデータを4つの項目に分けて整理・分析しますが、書き方にポイントがあるようです。下記に4つのポイントをまとめました。

 

・患者や利用者といった対象の基礎データの収集や分析をしっかりとおこなう

SOAPの本来の目的は、患者や利用者といった対象者の経過の記録です。対象者の基礎データの収集と分析がSOAP作成時に必要不可欠になります。基礎データに沿ったうえで対象者の変化を記録し、そこからどういった問題点があるのかを考えていきます。問題点を明確にし、解決方法を導き出すと、SOAPの精度を高める事ができます。

 

・SOAPの4項目に一貫性を持たせて記入する

SOAPの4つの項目はそれぞれ単独で成り立っているものではありません。他の項目と関係付けてとらえ、下記のように一貫性を持ってカルテを作成することが重要となります。

  1. S(主観的データ)およびO(主観的データ)の視点から得た情報を整理する。
  2. で出た記録をもとにどのような問題点があるか分析・評価をする。これがA(分析・評価)になる。
  3. で考えられたA(分析・評価)をもとにP(看護・介護計画)を実施する。

 

ここで重要な事は、S(主観的データ)とO(主観的データ)に関係しない内容はO(主観的データ)とA(分析・評価)に記載しません。A(分析・評価)を実施する際に判断材料が不足した時は、さらにO(主観的データ)の情報を取得するようにP(看護・介護計画)で立案します。そこから所見や身体診察・検査を実施し、再度A(分析・評価)を進めていきます。こいった過程を経てP(看護・介護計画)を決定していくことが基本となります。

 

・問題点を明確に分け、問題点ごとにSOAPを作成する

SOAPの作成は1つの問題点を明確に分けて書くことが大切です。1つのSOAPの中に複数の問題点があると、A(分析・評価)に時間がかったり、Aが明確にならなかったりします。Aが曖昧なままだと、P(看護・介護計画)の内容が不充分・見当違いといったことに繋がりかねません。

適切なP(看護・介護計画)をする為にも、問題点ごとに記録し整理・評価してSOAPを作成することが重要となります。

 

・追加や修正は柔軟に対応

患者や利用者といった対象者の急な容態の変化や、すでに決定している治療計画とはまた別の問題発生が発生することがあります。医療現場や介護の現場ではいろいろなことが起こる時があります。その度に、新たなS、O、Aを追加し計画していきます。

 

 

SOAPの内容や重要なポイントの解説をしました。書き方が慣れないうちは難しく感じることがあるかもしれませんが、まずは重要なポイントを理解し基本的な書き方を身につけましょう。

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