認知症などで、日常生活を送るのが困難になった高齢者の方には介護や看護などのケアが必要になってきます。
しかし、経験を積んだ介護職員でさえ認知症の肩を支援する際に悩んだり困ったりする場面が出てくるでしょう。
認知症の方との関わり方について、注目されている「ユマニチュード」というのがあります。
今回の記事ではユマニチュードのことを紹介していきます。
◆ユマニチュードとは?◆
ユマニチュードとは人としての尊厳を大切にする介護のケアメゾットで、ケアを受ける人の「人間らしさ」や「人間としての尊厳」を大切にしてケアを行う人の優しい気持ちを伝えることを重視したケア技法です。
「人とは何か」を問う哲学と、それに基づいている実践技術から成り立っています。
認知症のケア技術として知られており、目線や言葉、身振りなどのあらゆる感覚を活用した意思疎通を軸としています。
●ケアを行う人の定義について
ユマニチュードはケアを行う人は職業人でかつ、強制ケアをせずに健康に問題を抱える人の状態に応じた正しいレベルのケアを選択できる人という定義があります。
適切なケアを行う際は、ケアを行う人は「今は自分が何をするのか?」と目的の意識をはっきりさせ、相手の能力を奪わないことが大切です。
●正しいレベルのケアとは何か?
・心身の回復が目標のケア
・現在の機能を保持するためのケア
・最期までそばで寄り添うケア
●ユマニチュードのケア内容や入門研修・資格の有無について
ケアの内容について
ケアの内容は「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つから構成されています。それぞれの内容は下記で解説しますね。
見る
介護をする際は相手が座っている、または寝ている場面に関わることが多いです。よって視線の高さや距離などは、意思疎通の上で重要な事です。
気を付けて欲しいのですが、低い位置にいる相手を見る際に見下ろすような形になると、相手に悪い印象を与えてしまうことがあります。
ユマニチュードは、相手に話しかける時は、相手の目線の高さを合わせて意思疎通をとるようにします。相手が寝ている。もしくは座っている場面でも、しゃがんで同じ目線に合わせて話しかけることにより、お互いに正面から顔を見ることができます。
こうすることで、相手は親近感を抱いたり、平等であると印象づけられます。
話す
話す際は、穏やかかつゆっくりとそして前向きな言葉を用いて話しかけると良いでしょう。
また返事が無かったり、意識的な反応が見られない場合は、介護を行っている自分の手の動作を実況中継する「オートフィートバック」法を使い、言葉を途切れさせないのも一つの手です。
「身体を起こしますよ」や「温かいタオルで右手を拭いています」といった言葉をかけることは、介護を受けている側が自分の存在を改めて認識する機会にもなります。
触れる
介護者に触れる際は、手のひらを使い優しく包み込むように触れましょう。
触れる際はできるだけ皮膚の広い面積で触れるようにすると、相手に安心感を与えることが出来ます。
特に敏感な場所は手や顔です。可能なら、背中や肩など、触れられても不愉快に感じない箇所から触れ始めることが大切です。
立つ
立つことにより、人間としての尊厳を保持するために重要な意味を持つ上に、呼吸器系や循環器系の機能が活発になります。
加えて筋力低下や骨粗しょう症の進行を予防できます。血液の流れも改善します。
また1日20分程度は立位を含めた時間を確保することにより、寝たきりを防止できるとされています。
◆入門研修・資格の有無◆
国内でユマニチュードに関する資格は無いです。
代わり株式会社エクサウィザーズという会社にて、日本で唯一ユマニチュード研修を実施しております。
研修の内容は一般向けの市民講座、そして専門職向けの入門コースと実践育成2日間コースの3つに分かれています。
市民講座は2時間程度の講座で、基本的な考え方や4つの柱について学べます。
専門職向けの入門コース、実践育成2日間のコースは初めてユマニチュードを学ぶ専門職の方が対象となっています。
実践育成2日間コースでは、実技演習を通じてユマニチュードの基本的な技術を実践できる人材を育成しています。
◆まとめ◆
ユマニチュードは人としての尊厳を大切にしつつ、優しい気持ちを伝えることを重視したケア技術です。
「見る」「話す」「触れる」「立つ」は介護をする側のケアをする上でとても大切なことです。
またユマニチュードの研修もありますので、気になった方は受講するのも良いでしょう。