ヘルパーは、自宅で生活している方の元へ訪問し、必要とする介護サービスを提供するお仕事です。
ヘルパーが行う訪問介護では、食事や入浴、排せつといった身体介護から、食事の調理や買物、掃除といった生活援助まで、様々な面から利用者を手助けしています。
そんな在宅で生活する方にとっては非常に助かるヘルパーですが、じつは生活援助でやってはいけないこともあるのです。
そこで今回は、ヘルパーが生活援助でやってはいけないことを中心に上手な断り方なども紹介していきます。
◆やってはいけないこととは?◆
介護保険制度によって、ヘルパーはしていいこと、駄目なことが定められています。
ここでは、ヘルパーがやってはいけないことについて、詳しく解説していきます。
・本人以外への援助となる行為
ヘルパーによる生活援助では、利用者以外の家族に対する生活援助はしてはいけないことになっています。
そのため、利用者が日常的に使用する居室以外の掃除はもちろん、来客への対応や利用者以外の家族の食事作りや洗濯などの行為はできません。
・最低限の日常生活を超える範囲の手助け
生活援助では日常に必要な買い物は可能です。
ただし、お酒やタバコといった嗜好品をはじめ、来客用の茶菓子やお歳暮の購入など、最低限の日常生活を送る上で必要ないと判断される行為は、行うことができません。
・多くの時間を要すること
庭の草むしりや草花の手入れやペットのお世話、洗車や模様替えなど、日常的な家事を超える行為を行うことはできません。
あくまで、日常生活に送るための援助にしか対応することができないのです。
・医療行為
基本的にヘルパーは利用者に対し、医療行為を行うことはできません。
医療行為を行って良いのは、医師や歯科医師、看護師などの免許を有する方のみです。
そのため、インスリン注射や自己導尿、カテーテルや胃ろうチューブの挿入・洗浄といった医療行為はやってはいけないと決められています。
中には、薬の仕分けや服薬の手伝い、変形した爪の爪切りなど、これは医療行為に該当するのかと判断に迷うケースもあります。
しかし、やってはいけないと定められているものに関しては、どんなに利用者にお願いされてもしてはいけないため注意が必要です。
◆上手な断り方を学ぼう(ケースごとに紹介)◆
利用者とヘルパーの認識のズレによって、トラブルになることも少なくありません。
そこでここでは、やってはいけない生活援助を依頼された時の上手な断り方を紹介します。
・ケース1「家族の夕ご飯も作って欲しい」
介護保険によって派遣されているヘルパーは、利用者の援助だけを行うことが可能です。
そのため、家族の部屋の掃除や洗濯などは行えません。
このことはサービスを利用する際に、ケアマネジャーから利用者に対し説明がされているはずです。
それでも、するように頼まれた時は、「介護保険で来ているので、ご本人以外のことは手伝えません」と優しく言いつつもはっきりとした言葉で断ることが大切です。
・ケース2「おせち料理を作ってほしい」
ヘルパーは、決められた時間の中で作業しているため、お節料理のように時間も手間も掛かる料理は作れません。
もし依頼された時には、「時間も限られているので、簡単なものしか作れません」と伝えましょう。
それでもどうしてもという利用者には延長になっても良いか確認してみてください。
「それならいいわ」と納得する場合が多いです。
・ケース3「お酒を買ってきてほしい」
お酒やタバコといった嗜好品は、生活を送る上で欠かせない必需品とは言えないため、ヘルパーが購入することはできません。
また、体にとっても良いとは言えないため、「お医者様から言われているので、買いに行けません」と利用者の健康の面からお断りするのもおすすめです。
お医者様の名前を出すことで、説得力が増しますし、納得する方も多いです。
・ケース4「クーラーのクリーニングをしてほしい」
庭の草抜きや掃除、窓ふきなど一年間に数回程度しか行う必要のない掃除や日常生活に支障のないものについては、ヘルパーは行うことはできません。
その点では、クーラーのクリーニングも毎日行う必要はないものですが、フィルター掃除程度であれば問題ありません。
とはいえ、時間は限られているため、クーラーのクリーニングを依頼された時は「クーラーのクリーニングをすると部屋の掃除はできなくなりますがよろしいですか」と交換条件を提示してみましょう。
利用者がそれでも良いと言うのであれば、他の作業の代わりにクーラーのクリーニングを行います。
ただし、クーラーは高いところに設置されていることがほとんどです。
万が一怪我をしては利用者にも迷惑を掛けるため、安全に行うことができないと判断した場合には、しっかりとお断りすることも大切です。
◆ヘルパー同士の情報共有が大切◆
ヘルパーの仕事は、基本的に一人で利用者宅へ行き、身体介護や生活支援を行います。
そのため、問題が起きても一人で抱え込み悩んでしまいがちです。
また、他のヘルパーに会う機会も少ないため、情報共有が難しく、人によってやり方が違うと利用者に負担を掛けてしまうケースも少なくありません。
こうした問題を解決するには、ヘルパー同士で定期的に集まり、情報共有できる機会を作ることが大切です。
利用者にとって最も良いのは、どのヘルパーが訪問しても同じクオリティのサービスを受けられることです。
日頃の業務を一人で行うヘルパーだからこそ、最初は同じやり方でやっていたはずなのに、気付けば自己流になっていることも多いです。
そういった部分を訂正するためにも、定期的に集まり、情報共有することは非常に有意義です。
ヘルパーがやってはいけないことについて、詳しく解説してきました。
自宅に訪問し介護サービスを提供するヘルパーは、「本人を援助するとはいえない行為」「日常的な家事を超える行為」「しなくても日常生活に支障がないとされる行為」「医療行為」について、利用者に依頼されたとしても行うことはできません。
もしもやってはいけないことを頼まれた時は、利用者との関係を悪化させないためにも、ぜひ今回紹介したケースや断り方を参考にしてみてください。
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