今注目の「産業ケアマネジャー」とは?
2022.02.16掲載
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業界用語
 

産業ケアマネジャーという資格をみなさんはご存知ですか?

この資格は、介護をしている社員の悩みに寄り添い、サポートを行うことを目的としたものです。

会社内に配置するという理由から新たに設立された資格です。

今回は、産業ケアマネジャーとはどのような資格か、なぜ設立されたのか、どうすればなれるのかといった点について解説していきます。

 

 

◆産業ケアマネジャーとは◆

 

産業ケアマネジャーは、介護と仕事の両立を実現するために「ケアマネジャーを紡ぐ会」によって設立された新しい資格です。

2020年に創設されたばかりなので、資格を持つ人はそこまで多くありません。

産業ケアマネジャーが担う役割は、介護に関する専門的な知識と企業側の制度の2つの側面から、両立できるようにアドバイスをするというものです。

介護保険関連の知識や在宅介護に関するノウハウを持つケアマネジャーが企業と連携することによって、家族の介護をしながら仕事も続けられるような環境作りに一役買います。

厚生労働省が手鵜証している「介護支援プラン」の作成を補助するという仕事も、業務の一環と想定されています。

 

ケアマネジャーは、介護に関する専門家です。

そんなケアマネジャーが産業ケアマネジャーの資格を取得できれば、介護保険に関する専門的な知識や介護休業制度や企業側の制度に関する適切なアドバイスも可能となります。

また、助成金の活用方法に関するアドバイスもできるでしょう。

 

 

◆産業ケアマネジャーが設立された目的とは◆

 

産業ケアマネジャーが設立された大きな目的は、介護離職を防ぐことです。

介護離職は年間で10万人にものぼると言われています。

産休や育休は、出産の日程がある程度決まっているため、あらかじめ予測できます。

しかし、介護はある日突然訪れるものであり、いつまで続くのか予想することもできません。

突然始まり、いつまで続くか分からない状況は、雇用される側にとっても大きな負担ですが、雇用する側にとっても同じように大きな負担となります。

会社に迷惑をかけたくないという理由から、離職すべきか迷ってしまう人もいるでしょう。

そのような時に、介護に関する専門家が社内にいるのはとても心強い味方だと感じるはずです。

 

 

◆産業ケアマネジャーになるには◆

 

産業ケアマネジャーは3級から1級まで用意されています。

続いては、どうすればなれるのか解説していきます。

 

・産業ケアマネジャーになるには

産業ケアマネジャーになるためには、日本ケアマネジメント学会の認定資格・認定ケアマネジャーまたは国が定めている主任ケアマネジャーの資格を持っている必要があります。

それだけではなく、BSL(Basic Life Support)という一時救命処置に関する所定の研修を修了していて、認定試験に合格していることも受験資格に盛り込まれています。

3級の試験は1年に2回となっているので、資格取得を目指したい人は受験に向けた勉強を進めましょう。

当面の間は3級のみの実施が予定されているため、2級や1級の取得も目指したいと考えている人は、ケアマネジャーを紡ぐ会のホームページなどを小まめにチェックしてみてください。

 

・試験について

試験は、3級の場合だと○×式の全50問(1問あたり2点)で70点以上の人が合格となります。

受験料は、基本テキストと練習問題込みで9,800円です。

基本テキストは、介護保険に関する知識や介護離職、働き方改革、労働基準法など多岐に渡る知識が盛り込まれています。

 

・1人前になるまでの過程

産業ケアマネジャーは、前述したように3級から1級まであります。

 

3級は、介護支援専門員の資格を有していればどなたでも受験可能です。

試験は毎年2回(春分の日と秋分の日)行われます。

 

2級は、産業ケアマネジャーの3級を取得している人が受験資格を得られます。

毎年1回(勤労感謝の日)試験が開催される予定となっていますが、いつから開催されるかはまだ発表されていません。

3級よりも実践的な知識を身に付けるために、有料の対策講座も開講予定です。

 

1級は、産業ケアマネジャーの2級を取得している人が受験資格を得られます。

また、指定された有料の研修を6回受けること、産業ケアマネジャーとして訪問先における実績を1件有していること、産業ケアマネジャー2級を取得している人同士のコミュニティに参加すること、の3つが認定要件に盛り込まれています。

認定要件などに関する詳しい情報は、改めてホームページで知らせるということなので、気になる人は小まめにチェックしておいてください。

1級を受験するための研修は、第1回目が2022年に開催予定とされています。

 

 

◆介護は家庭だけではなく社会全体でサポートする時代へ◆

 

近年、共働きの家庭が非常に増えています。

かつては在宅介護が問題なくできるケースが多かったもしれませんが、それが難しい状態になっています。

仕事をしていれば辞めなければいけないという状況に陥ってしまうケースも非常に多いです。

それが介護離職なのですが、いつまで介護が続くか分からないので大きなストレスを抱えかねません。

そのような状況を抜け出すために創設されたのが産業ケアマネジャーです。

産業ケアマネジャーが増えていき、上手く機能するようになっていくと、ヤングケアラーの改善にもつながる可能性があります。

ヤングケアラー問題というのは、家庭内に家事の担い手がいないために中学生や高校生が介護をしなければいけないという状況を指します。

共働きが当たり前となっている今だからこそ、多方面から専門家の力を借りる必要性が高まっているのです。

家庭内だけで問題を抱え込まず、地域や社会、勤務先などあらゆる協力を得ながら、サポートする時代がこれからは必要になってくると考えられます。

 

産業ケアマネジャーを利用すると、時差出勤制度を利用してデイサービスの見送りをしてから出勤したり、短時間勤務やフレックスタイム制の利用がしやすくなったりします。

また、費用補助制度を活用してホームヘルパーを利用する、テレワークを活用して午後から出勤するなど、介護に携わりやすくなるのです。

専門的な知識を持つ産業ケアマネジャーにいつでも相談できるというのは、精神的な負担の軽減につながるでしょう。

 

 

産業ケアマネジャーは、最近設立されたばかりの資格です。

いずれ取得を目指したいと考えている人もきっといるはずです。

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