仕事を選ぶ際には、どうしても給料という部分に目が行きがちです。
特に介護業界は給料が安いと認識されていますが、本当に安いのでしょうか?
また、大変な仕事にも関わらず安いと認識される理由はどの部分なのかを紹介します。
今後、介護福祉士の給料が高くなると言われています。
この機会に、介護福祉士の現状や給与の実態について知っておきましょう。
◆介護福祉士の賃金改善の制度について◆
厚生労働省の発表では、高齢化の進んでいる日本で介護に必要な人材が2020年度末には約216万人、2025年度末に約245万人必要になるとされています。
あくまで推計の段階ですが、今後高齢化が深刻化する可能性が高く、介護に携わる人材が不足するとも予想できる内容です。
すでに2020年度には約26万人、2025年には約55万人の介護人材不足の可能性があり、年間約6万人の介護人材の確保が急がれています。
団塊の世代と呼ばれる人たちは1947年~1949年の3年間に生まれた人のことで、第二次世界大戦後のベビーブーム時にもあたります。
この3年という間に生まれた人数は、その後の3年間よりも24.3%多く、人口ピラミッド図が固まりのようになることから団塊の世代と呼ばれるようになりました。
この世代が2025年には全て75歳以上の後期高齢者に該当します。
これによって介護を必要とする人数の増加が予測されますが、急な募集では間に合わないとの懸念もあります。
そのため、介護職員の増員が急がれているのです。
そこで、職員を増やすために給与水準の引き上げが検討されました。
給与水準を全産業の平均賃金以上にしなければならないため、介護職員の処遇改善政策として介護職員処遇改善加算制度というものがあります。
介護職員処遇改善加算制度は、2009年に出来た介護職員処遇改善交付金から発展したものです。
2012年には介護職員処遇改善加算として組み込まれた制度によって現在までに月額57,000円相当の賃金の改善が行われました。
さらに2019年には、介護人材をより確保するために介護福祉士などの経験者または技能職員に関して月額平均で80,000円相当の処遇改善を目的とした介護職員等特定処遇加算制度ができました。
この制度により、勤続10年以上の介護福祉士は大幅な賃金改善が期待できるということです。
◆現在の介護士の給与実態◆
介護業界の給与の低さは度々聞く話題ですが、実際はどうなのでしょうか?
ここでは、現在の介護職に携わる職種ごとの給与実態について解説していきます。
【介護関連の平均給与】
介護関連には、訪問介護や生活援助、老人ホームなどの関連施設で介護する職員の給与を平均にしたものです。
老人ホームでは夜勤もあるため、訪問介護やヘルパーに比べて高い傾向です。
さらに介護福祉士の資格保有者なら資格手当が加算されます。
◎直接雇用の正社員、パート、アルバイト
・年収:平均331万円
・月収:平均22万円
・時給:平均1,207円
◎派遣の正社員、パート、アルバイト
・年収:平均316万円
・月収:平均27万円
・時給:平均1,459円
【ケアマネジャーの平均給与】
専門的な知識を有するケアマネジャーは、ケアを受ける利用者と介護サービスを提供する両者の間に立ち、適切なケアプランの計画や管理を行うのが仕事です。
ケアマネジャーの平均給与は以下の通りです。
◎直接雇用の正社員、パート、アルバイト
・年収:平均350万円
・月収:平均25万円
・時給:平均1,368円
【生活相談員の平均給与】
デイサービスや訪問介護などの事業所で利用者の管理や連絡、調整や生活サポートを中心的に行うのが生活相談員です。
生活相談員の平均給与は以下の通りです。
◎直接雇用の正社員、パート、アルバイト
・年収:平均299万円
・月収:平均22万円
・時給:平均1,135円
【管理職(候補)の平均給与】
介護施設での管理職は、老人ホームなどで責任者となる職員です。
施設長やホーム長、フロアリーダーなどが該当します。
職員やスタッフ、施設のマネジメントなどが仕事です。
管理職(候補)の平均給与は以下の通りです。
◎直接雇用の正社員、パート、アルバイト
・年収:平均299万円
・月収:平均22万円
・時給:平均1,135円
【看護の平均給与】
同じ看護師でも介護の現場で働く看護師は、訪問看護や入浴サポート、老人ホームへの勤務などを行います。
施設になると夜勤がありますが、これを含めた平均給与は以下の通りです。
◎直接雇用の正社員、パート、アルバイト
・年収:平均395万円
・月収:平均27万円
・時給:平均1,530円
【リハビリ関連の平均給与】
老人ホームや病院、デイサービスなどで働く理学療法士や機能訓練指導員が、リハビリ関連の職員に該当します。
利用者の自宅を直接訪問して行う場合もあります。
理学療法士や機能訓練指導員、作業療法士や言語聴覚士など、リハビリ関連の平均給与は以下の通りです。
◎直接雇用の正社員、パート、アルバイト
・年収:平均364万円
・月収:平均25万円
・時給:平均1,615円
現在、介護に関連している職種の一部の平均給与を紹介してきました。
介護関連の平均給与は年々増えている傾向ですが、給与の原資となるのは介護報酬です。
介護保険料とも関わってくるため、簡単に給与の引き上げができないという理由が介護関連の平均給与や安いと言われる理由と考えられます。
介護職員処遇改善加算の引き上げには、介護保険被保険者の負担増または基本報酬などを減らすなどの対応が求められるのです。
◆今後介護関連の平均給与が上がる予想?◆
これから介護需要が高まっていく中で介護保険制度を持続させていくには、介護報酬の引き上げに加えて介護福祉士など国家資格の保有者や勤続年数が長い職員など、経験や実績に合わせて処遇の改善をしていく必要があるでしょう。
さらに2025年問題が目前に迫っているため、資格や勤続年数に限らず業界全体の底上げも重要なポイントになります。
介護職員処遇改善加算に関する議論では、加算の改善や拡充も検討されています。
そのため、今後はさらに介護関連や介護福祉士などの給与は上がると予想できます。
介護の現場では深刻な人手不足が予想されていて、2025年までに約55万人の介護人材を補わなければなりません。
今までは介護関連の給与の低さによって目指す人がいませんでした。
しかし、介護職員処遇改善加算および介護職員等特定処遇改善加算の見直しにより、改善や加算の拡充が期待できます。
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