介護老人福祉施設と介護老人保健施設の違いについて
2021.10.13掲載
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施設形態

介護老人福祉施設と介護老人保健施設、名前は似ていますが実は入所の目的がそれぞれ大きく異なっています。

そこで今回は、介護老人福祉施設と介護老人保健施設の違いについて詳しく解説します。

 

■介護老人福祉施設とは(特別養護老人ホーム)

介護老人福祉施設は、地方自治体や社会福祉法人が管理している高齢者のための公的施設です。

特別養護老人ホームや特養と書かれることもあります。

要介護者の定員が29名以下となっている施設は、「地域密着型介護老人福祉施設」と呼ばれます。

自宅での生活が困難であったり、常に介護が必要であったりする高齢者の生活を長期的に手助けしていく施設です。

 

 

■介護老人保健施設とは (老健)

介護老人保健施設も公的に運営されている施設の1つです。

老健と呼ばれることもあり、介護老人福祉施設よりも短期間の利用となるのが特徴となります。

主に、病院で入院治療を受けていた高齢者が在宅復帰までの期間に利用します。

在宅復帰までの期間は、3.~6ヶ月程度であることが多いです。

必要な生活支援を受けながら、在宅復帰を目指して機能維持・改善のためのリハビリやレクリエーションを行います。

 

 

■入所基準は?

まずは、それぞれの入所基準について見ていきましょう。

◎介護老人福祉施設

原則として、要介護3以上と認定された高齢者、特定疾患によって介護認定を受けた40歳以上の方が対象となります。

また、特例として要介護1・2と認定された高齢者でも、以下の要件に当てはまる場合は入所できる可能性があります。

 

・認知症によって意思疎通や在宅での生活が困難

・知的障害や精神障害によって意思疎通や在宅での生活が困難

・家族からの酷い虐待によって心身の安全や安心が確保できず、在宅での生活が困難

・単身世帯や高齢者世帯、家族が病弱であるなどの理由によって、周囲の人からの支援が期待できない

また、地域の介護サービスが不十分であり、在宅での生活が困難

 

ただし、看護師が常駐していない施設もあるため、24時間体制で医療的なケアが必要である場合は、入所できないケースもあります。

 

◎介護老人保健施設

原則として65歳以上という条件に加え、要介護1以上と認定された高齢者が対象となります。

上記の条件を満たしていない場合でも、特定疾患によって介護認定を受けている40歳以上の方であれば入所できます。

その他の入所条件は施設によって異なり、病状が悪化する危険が低い・感染症にかかっていないなど様々です。

しかし、施設によっては必要な医療行為が受けられない場合もあるため、条件を満たしていても入所できないケースもあります。

 

 

■サービス内容は?

 

次に、サービス内容の違いについてご紹介します。

 

◎介護老人福祉施設

介護老人福祉施設で提供されるサービスには、食事や排泄、入浴などの日常生活に欠かせない介護の他にも様々なものが用意されています。

医師や看護職員による日々の健康管理はもちろん、夜間などの緊急時はオンコール体制などによって対応することが多いです。

他には、機能訓練や生活支援、レクリエーションなどが行われます。

また、介護老人福祉施設では「看取り」を取り入れていることも多く、終身利用が可能です。

 

◎介護老人保健施設

介護老人保健施設では、日常生活に関する介護サービスに加え、充実したリハビリが受けられます。

医師の指導の元、個人に合ったリハビリが受けられるので、早期の在宅復帰が望めます。

リハビリは週に2回以上、20~30分程度行われることが多いです。

また、介護老人福祉施設と比べて、医療面でのサービスが豊富であることも特徴です。

介護老人福祉施設では、医師の常勤が義務付けられているので、手厚い医療ケアサービスの提供が可能となります。

 

 

■どんな設備がある?

 

介護老人福祉施設と介護老人保健施設はそれぞれ目的が異なるため、設備にも多少の差があります。

また、設備については施設の方針などによって異なることがあるので、施設ごとに確認する必要があります。

 

◎介護老人福祉施設

介護老人福祉施設の居室は、定員4名以下の多床室やユニット型個室、従来型個室などが用意されています。

長期的な利用になることから、介護老人保健施設よりも居室の個室化が進んでいるのが特徴です。

居室にはナースコールなどのブザー設置が義務付けられているので、居室内でも安心して過ごせます。

その他には、浴室やトイレ、医務室などの設置に加え、廊下や階段には手すりを設けるなどの細かな決まりもあります。

 

◎介護老人保健施設

介護老人保健施設の居室は、定員4名以下の多床室が多く、個室の用意が少ない傾向があります。

入所期間が短期ということもあり、個室化はまだまだ先になると考えられているのです。

その他には、貴重な交流場所となるリビングやレクリエーションルーム、生活に必要な食堂や浴室、診察室などの設置が義務付けられています。

また、在宅復帰が目的であるため、リハビリ施設が充実しているのも大きな特徴となります。

リハビリを行う機能訓練室は、入所定員数が面積を決める基準となるため、入所定員が多いほど広くなります。

 

 

■費用に違いはある?

 

介護老人福祉施設と介護老人保健施設には、有料老人ホームなどで必要となる入居一時金がありません。

さらに、公的施設であることから、比較的安い費用で入所が可能になります。

介護老人福祉施設と介護老人保健施設共に、施設サービス費や居住費、食費やその他日常生活費の合計金額が支払うべき費用となります。

また、居室のタイプや介護度、世帯収入によって費用が異なるので注意が必要です。

 

◎介護老人福祉施設

介護老人福祉施設での医療行為は医療保険を利用したものになるため、施設へ支払う費用に加えて、医療費を用意する必要があります。

 

◎介護老人保健施設

リハビリを重点的に行う施設であるため、介護老人福祉施設よりも費用が高くなります。

その分、個人に合った医療ケアが施設サービス費に含まれているため、受けた処置が基本的なものであった場合は新たに医療費が加算されることはありません。

 

 

介護老人福祉施設と介護老人保健施設は、それぞれ公的施設ではありますが、入所の目的が大きく異なります。

終身利用が可能な介護老人福祉施設では、長期間の介護を前提として入居することになります。

反対に短期間の入所が前提となる介護老人保健施設では、充実したリハビリや医療ケアを受けられます。

また、どちらの施設も施設によって方針が異なる場合もあるので、入所を検討している場合はしっかりと確認してみてください。

 

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