厚生労働省が新型コロナ感染拡大で訪問介護に特例
厚労省は2020年4月27日、訪問介護サービスについて、新型コロナの影響により人材を十分に確保できないときは、ホームヘルパーの資格(介護職員初任者研修修了)を持っていない職員でもサービスを提供できる、との規定を明らかにしました。
訪問介護では、無資格の職員による訪問介護について「柔軟な対応をして差し支えない」と説明。この特例が認められるケースとして、「通所介護が機能しなくなって急にニーズが拡大した、ヘルパーが発熱して休まざるを得なくなった」などを例示していました。
そもそも人手不足が深刻な訪問介護業界ですので、目の前の利用者を支えるためであれば個々の事業所が臨機応変に判断して構わない、という認識を改めて明確にしたものとなっています。
あくまでも新型コロナ対策に伴う一時的な措置という位置付けとなっており、また誰でも訪問介護に従事できると言っている訳ではなく、厚労省は訪問介護を任せられる無資格の職員について、以下の2つを要件として設定しています。
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他の事業所などで高齢者へのサービス提供に従事したことがある人
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利用者へのサービス提供に支障がないと認められる人
この通知により、救われる利用者は少なくありませんが、一方で業界の一部からは否定的な見解も示されています。無資格の人が訪問介護を担うことを許してしまうと、訪問介護員の専門性に対する認識が薄れてしまい、将来的に無資格の人が訪問介護を行うことができるという道筋を付けてしまうのではないか?というものです。
しかし、今は緊急事態の真っただ中であり、サービスが必要な人への支援をできる限り続ける必要があります。現在の運営基準では、例えば同じ法人のデイサービスに腕のいい介護職がいたとしても、資格がないために訪問介護の応援に入ることができません。そもそも「通所介護サービスは無資格でも担える」という基準自体にも課題がないわけではありませんが、今回の特例は、このような具体的要望に応えるために用意されたもので、厚労省は、上記の2つの要件を満たすものとしており、全くの素人が訪問介護を担うことを認めたわけではありません。