訪問入浴で働く看護師さんの仕事内容
2020.07.27掲載
  • Facebook
  • Twitter
  • Line
仕事内容

訪問入浴で働く看護師の仕事内容、平均給与、向いているタイプとは?

QOL(生活の質)を支える訪問入浴のお仕事にも看護師は欠かせません。訪問入浴のお仕事は、パートや単発アルバイトの案件が多く、また医療処置の機会が少ないことから、ブランクのある看護師さんにも働きやすい環境といえます。
ここでは、訪問入浴で働く看護師の仕事内容、1日の流れ、平均給与、向いているタイプなどをご紹介します。

 

訪問入浴で働く看護師の仕事・業務内容

訪問入浴とは、介護保険で受けられるサービスのひとつで、介護認定を受けた利用者の自宅を訪問し、入浴サービスを行うことです。スタッフは、介護職員2名と看護師or准看護師1名の3名以上と決められていて、このチームで専用車両に乗って利用者のお宅に伺い、持参した浴槽を設置し、入浴サービスを行います。自宅のお風呂を使って行う、いわゆる「入浴介助」とは異なります。
看護師の業務は、バイタルチェック、衣類の着脱、入浴介助、入浴後の処置、記録など。浴槽の運搬や設置、入浴介助は介護職員がメインで行いますが、介護職員だけでは手が足りないこともあり、多くの場合、看護師も仕事を補助します(事業所によっては入浴の補助を行わない場合もあります)。
看護師の最も大事な役割は、健康状態の確認です。訪問入浴のサービスを受けるにあたって、利用者は医師による許可を事前に受けていますが、体調は日によって変わります。入浴前に熱や脈拍、血圧を測り、家族に話を聞き、問題ないか確認するほか、入浴中から入浴後まで何らかの体調の変化がないか観察します。

 

訪問入浴で働く看護師の1日のスケジュール(例)

■08:30 出勤
事業所で、その日のスケジュールや利用者の確認をし、ナースバッグ等準備。入浴車に乗り込み、訪問先へ向かいます。
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
■09:00 健康チェック
入浴前に利用者のバイタルチェックを行います。場合によっては入浴を見合わせる判断をすることもあります。
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
■09:30 脱衣介助
介護職員が浴槽を設置し、お湯はリ。入浴の準備ができたら脱衣を介助します。
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
■10:00 入浴介助
洗髪、洗体、お湯につかるといった流れで入浴を介助します。メインで対応する介護職員を手伝いながら、利用者の全身の状態を観察します。
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
■10:30 入浴後の処置、着衣介助
必要に応じて褥瘡処置や保湿剤塗布、水分補給などをし、着衣介助を行います。記録を書き、家族に確認してもらって終了。
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
■12:00 昼食
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
■13:00 午後の訪問入浴
午前は2~3件、午後に3~5件訪問します。訪問する時間が各家庭で決まっているので、時間が押さないようテキパキと動きます。
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
■16:30 事業所で業務報告
1日の業務記録を記入し、責任者に報告。必要に応じて介護職員との振り返りミーティングをします。
– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
■17:30 業務終了

 

訪問入浴で働く看護師の平均給料

訪問入浴の仕事は基本的に日勤のため、病院やクリニックに比べ、年収は低くなります。訪問入浴介護サービスを行っている事業所で常勤フルタイムの場合、予想される月収は25~30万円ほど。正規雇用よりどちらかといえばパートや単発の派遣での求人が多く、時給はだいたい1500~2000円と言われています。1件あたり1時間弱ほどで行え、1日4~8件。看護師の業務自体は介護職員より比較的軽めなこともあり、本業の休日などを有効活用することも可能です。

 

訪問入浴で働く看護師 メリット・デメリット

ブランクがある人の復帰第一歩にしやすいほか、単発のアルバイトや派遣登録など、ライフスタイルに合わせた働き方をすることができます。訪問入浴に限らず、居宅介護サービスの現場では、看護師には基本的に健康状態の確認以上の医療行為は認められていませんから、業務負荷も比較的軽めなことが魅力です。
その一方、バイタルチェック、入浴後の処置、記録が主な仕事であり、日々その繰り返しであることにもどかしさを感じることもあるかもしれません。そうならないよう、患者の看護にやりがいを感じる人も、いったん医療の現場から離れてみたい人も、「ここは介護の現場」と認識し、気持ちを切り替えることが必要です。また、チームを組む介護職員との仕事の線引きがしにくい面もあるようです。入浴サービスは介護職員がメインで担当しますが、看護師はどこをどれだけ手伝ったらいいか、事業所や派遣先によっても、組む介護職員によっても異なります。事業所の方針を事前によく聞いておくことが大切です。

 

訪問入浴で働く看護師のスキル・資格

利用者の健康確認が仕事ですから、看護師および准看護師の資格があれば問題なく働けます。ただし、3人1組のチームで1日中過ごすため、介護職員と息が合わないとつらくなります。親和性や協調性があり、いいチームの関係を築ける人が有利です。
これまで病院やクリニックを中心にキャリアを積んできた人にとっては、仕事に追われていた日々からちょっと一休みし、次のステップアップの道を見つける時間にすることができます。目指す資格試験の勉強に充てたり、介護の分野へ進む一歩としてみるのもおすすめです。

 

訪問入浴で働く看護師が向いているタイプ

誰でもお風呂に入ることは気持ちよく、QOL(生活の質)の基本です。まして自分で入浴するのが困難な人にとっては、訪問入浴サービスは待ちわびる時間であり楽しみです。「気持ちいい」「ありがとう」と喜んでいただけることにやりがいを感じる人に向いています。
利用者や家族の反応をダイレクトに感じることができ、1件1件、達成感を得られる仕事ですが、とはいえ、誰もがすぐに受け入れられ、喜んでもらえるわけではありません。自宅に他人が来て、裸になり、入浴というプライベートな場面を任せることに不安やためらいを感じるのが普通です。それだけに、ちょっとした一言やふるまいがクレームになりやすいこともあります。どの家庭でも誠実な対応をし、人に安心感をもたらせる人がふさわしいでしょう。