介護疲れを防ぐには
2019.11.11掲載
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介護・福祉の情報

介護に疲れた……そう思ったときに心得ておきたい3つの対処法

在宅介護には、休みがありません。がんばって介護をしても、よくなるばかりか症状が悪化したり、ひとりで介護の辛さを抱え込んだり……。精神的にも肉体的にも日々すり減っていきます。 そんな毎日を送っていると、どんなに大切な家族の介護であったとしても、疲れはどんどん溜まっていき、「もうどうにもならない」と追い込まれてしまうこともあるでしょう。 このように「介護に疲れた」と感じたときはどうしたらいいのか。あるいは、疲れにくくするためにできることはあるのか。介護疲れへの対処・予防方法、そして介護疲れが原因で起こる問題について、一緒に考えていきましょう。

介護疲れを楽にする3つのポイント

まず大切なのが、介護をするときに体の負担を減らして、疲れにくくすること。高齢者の体を支えたり、体の向きを変えたりするときに無理におこなうと、介護する側もされる側も負担に感じてしまいます。その負担を軽減するのが、ボディメカニクスです。 ボディメカニクスとは、力学の原理を使って、体の負担を減らす技術のこと。このボディメカニクスを活用することで、疲労を最小限にし、腰痛などの不調も防ぐことができます。 ボディメカニクスを活用するポイントは、おもに以下の4つ。 ①重心を低くし、両足を広げて支える面積を広くする 支えるときに安定感が出るので、無駄な力を使わずに済みます。 ②相手に可能なかぎり近づく 近い距離であれば体全体で支えられるので、体への負担を分散させることができます。 ③てこの原理を使う 起き上がるときに腰を支点にして回転するようにすると、容易に起き上がりの介助ができます。 ④相手の体をできるかぎり小さくまとめる 腕や足が広がっていたりすると、支えるのが難しくなってしまいます。腕は曲げて体の上に置く、膝は揃えておくなどの工夫をすると、介助がしやすくなります。 また、自分でできる範囲は自分でやってもらうことで、介護者の負担軽減だけでなく、高齢者の身体機能の維持にもつながります。体調などを見ながら、できることはやってもらうように促すことも大切です。

相談相手を持ち、精神的負担を減らす

介護は数年から十数年、あるいはそれ以上の長い期間を要します。ひとりで抱えていると、精神的に疲れが溜まってしまいますので、相談できる相手を持っておくことが大切です。 家族の協力を仰ぐことは第一として、市町村に設けられている地域包括センターや介護相談専用の窓口を活用してもよいでしょう。また、通院している病院の専門職員(ソーシャルワーカーなど)のスタッフに相談するのも選択肢としてあります。 ひとりで抱えて思い悩み続けると、視野が狭くなり、精神的にも追い込まれてしまうかもしれません。小さなことでもいいので、普段から誰かに相談するよう心がけておきましょう。

介護施設を利用するのも選択肢

自宅での介護がどうしても難しく、介護離職や介護うつを引き起こしかねないと感じたら、老人ホームなどの介護施設を利用するのも手です。 日中だけレクリエーションや日常のお世話をしてもらうデイサービスや、最大30日だけ入所できる短期入所生活介護(ショートステイ)で部分的に利用する方もいるでしょう。 あるいは料金は多少かかりますが、有料老人ホームや特別養護老人ホームなど、完全に生活の場を移すという選択肢もあります。本人の介護度や、家庭の状況などで判断しましょう。 このような介護施設を利用することを、「家族を見捨てた」と罪悪感を覚える方もいますが、決して悪いことではありません。むしろ、疲れてしまって投げやりな介護をしてしまうよりはずっと、家族のためになるということを覚えておきましょう。

「ずっと続けていける介護」を見つけていく

長い期間、家族の介護を続けていくうえで大事なのは、完璧にこなそうと努力することではありません。互いの負担が少なく、無理なく続けていける方法を考えることこそが大切なのです。 自分と家族、両方をいたわった介護を続けていきたいものです。