毎年10月に各都道府県で順次最低賃金引き上げが適応されます。
お仕事をしていると一度は「最低賃金」のことを耳にすることがありますよね。
「最低賃金」というと、時給のことで月給で働いている正社員には関係がない?最低賃金は毎年上がるもの?そもそも、最低賃金とは?
いろいろ疑問が出てくるかと思います。そこで今回は、
- 2022年度の「最低賃金」の引き上げはどのくらいなのか?
- いつから適応になるのか?
- 正社員やアルバイトなど働き方で違いで「最低賃金」は関係してくるか?
など、最低賃金の説明も含めて解説します。働く上で重要なお金のことなので、最後までぜひお読みください。
◎2022年度の最低賃金引き上げが決まる◎
最低賃金は毎年見直されており、2022年度は全国平均で31円の引き上げになりました。31円の引き上げは過去最高額になります。過去最高額になった背景として、現在、世界情勢が緊迫し、物価が上昇しています。特に、2022年10月から生活必需品の値上げの開始、さらには続いている円安の問題があります。そこで、働く方々の負担を減らすために、2022年度は最低賃金が大幅に引き上げられました。近年の全国平均の最低賃金引き上げ額をみると
- 2020年・・・・・・全国平均1円
- 2021年・・・・・・全国平均28円
- 2022年・・・・・・全国平均31円
最低賃金は年に2~3%(時給換算で数十円上がる)引き上げられます。しかし、2020年はコロナ化の影響で、雇用維持を優先したために0.1%(1円)しか上がりませんでした。2021年は10月に緊急事態宣言が解除され、徐々に経済活動の再開したことなどふまえて、引き上げ目安が28円に提示されたこともあり金額が上がりました。
◎最低賃金とは◎
最低賃金法に基づき、最低賃金を国が定めています。使用者(雇用している人、企業)が定められた、最低賃金以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。金額は、最低賃金審議会(公益代表、労働者代表、使用者代表の各同数の委員で構成されている)の議論によって、都道府県労働局長が最低賃金を決定しています。審議した上で、10月に順次適用されます。
■最低賃金より低い賃金で労働契約した場合■
例えば、使用者と労働者の双方で最低賃金より低い賃金で、お互い合意の元で契約したとします。しかし、最低賃金法によってその契約は無効となり、最低賃金と同様の契約となります。
■使用者(雇用している人、企業)が最低賃金を支払っていない場合■
労働者に使用者が最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合は、差額を使用者が労働者に支払わなければなりません。地域別最低賃金(各都道府県で職種に関わらずに定めたれている最低賃金)以上の賃金の支払いがない場合は、最低賃金法により50万円以下の罰金が定められています。特別最低賃金(特定の産業に設定されている最低賃金。地域別最低賃金よりも高い水準で、賃金を定めることが必要とされる産業に適用。)以上の賃金を支払いがない場合は、30万円以下の罰則が定められています。
(厚生労働省関連リンク・ポイント!最低賃金より)
■最低賃金引き上げはいつから適応になる?■
最低賃金は上記で解説したように、最低賃金審議会での審議や都道府県労働局長が決定し、毎年10月に各都道府県で順次適応されます。
■最低賃金は全国で一律の金額?■
最低賃金は、各都道府県の地域ごとの状況をふまえて決めるので、全国一律の金額ではありません。全国で最も最低賃金が高い都道府県は東京都になります(2022年度は1,072円)
全国で2022年度最も低い最低賃金額は853円になっており、沖縄県、鹿児島県、宮崎県、熊本県、長崎県、佐賀県、高知県、愛媛県、秋田県、青森県になっています。
■最低月給は最低賃金法で決められているのか?■
最低賃金は時給で発表されていますが、月給でお給料が計算される正社員の方に当てはまらないわけではありません。最低賃金は、雇用形態に関わらず決められています。月給制や、日給制など賃金の支払い方法によって変わる計算方法があります。最低月給や、最低日給がどの位になるのか計算してみましょう。
♦月給制の最低賃金計算♦
基本給や職能手当などが最低賃金の対象になります。通勤手当や時間外手当など、一人一人金額に違いがある手当は最低賃金の対象にならないので、計算には含みません。
♦計算例♦
基本給150,000円、職能手当20,000円、年間の所定労働日数250日、一日の所定労働時間8時間だった場合。
(170,000円×12カ月)÷(250×8時間)=1,020円(時給)
1,020円が月給を時給計算された金額で、この数値が自分の住んでいる地域の地域別最低賃金や、地域別最低賃金以上になっていれば問題ありません。
♦日給制の最低賃金計算♦
日給は一日単位で賃金が定められています。一日の所定労働時間から時給を割ることで、時給を求めることができます。
♦計算例♦
日給8,000円、一日の所定労働時間8時間
8,000÷8時間=1,000円(時給)
計算より求められた時給1,000円が、この数値が自分の住んでいる地域の地域別最低賃金や、特定最低賃金以上になっていれば問題ありません。
2022年の最低賃金が31円上がった、と見ると「たった31円しか上がっていない」と思いがちです。しかし、月収5,000円アップ、さらに年収60,000円アップと大きな差になっていきます。働く上でいただく賃金を知ることは、とても大事なことです。自分の勤務環境は最低賃金法で守られた金額での仕事になるのか、きちんと調べることが大切です。
もし、介護関係でのお仕事探しや転職で賃金のことで疑問に思うことがありましたら、福島介護求人・転職ナビにご連絡ください。徹底的にサポートいたします。