介護スタッフの新たな働き口として注目されている「幼老複合施設」は、これまでの介護施設とは大きく異なる特徴を持っています。
世間一般的にはまだあまり馴染みのある施設ではありませんが、近年、幼老複合施設は働きやすいと言われています。
働きやすいと言われているのには、一体どのような理由があるのでしょうか?
この記事では、幼老複合施設の特徴やメリット・デメリットなどについて詳しくご紹介します。
◆幼老複合施設とは◆
近年、注目されている幼老複合施設とは、児童向けの施設と高齢者向けの施設が一体化した複合施設のことを言います。
敷地内にそれぞれの建物が建っていたり、建物内に併設されていたりと、運営スタイルは施設によって様々です。
このような施設が増えている背景には、異世代間の交流促進、建築・運営コスト抑制などといった目的があるようです。
幼老複合施設での仕事内容は、従来の介護施設と大差はありません。
介護スタッフとして働く場合は、高齢者の生活支援や身体介護、子どもとの交流などが主な業務となります。
具体的には、体操や散歩、食事のほかに、子どもとの交流を図るためのレクリエーションが行われているようです。
ただし、高齢者に加え、子どもと交流する場面があるため、レクリエーションや季節のイベントといった行事は他の介護施設と内容が異なります。
また、幼老複合施設には介護士と保育士が所属することになるため、「働く上で資格が必要なのではないか?」「両方の資格が必要なのか?」と考える人もいるはずです。
実際、働くために必須とされる資格はありませんが、知識や経験を兼ね備えていれば歓迎されるため、資格を持っているのは有利です。
高齢者とも子どもとも関わる機会が多いため、双方の知識を身に付けていれば働きやすくなります。
現在、日本では人口減少、家庭や地域社会の変化に伴い、「地域共生社会」の実現を目指しており、地域共生社会実現への第一歩として幼老複合施設の導入が進められています。
核家族化が進む都心部や将来的に人口減少が予測される中四国・九州などのエリアにおいて、幼老複合施設の需要は高まっているようです。
◆幼老複合施設のメリット・デメリット◆
ここでは、様々な観点からみた幼老複合施設のメリット・デメリットについてご紹介します。
介護スタッフとして働くことを考えている人は、施設の特徴を踏まえた上で自分に合っているかどうか検討してみてください。
・メリット
幼老複合施設で働く上でメリットとなるのは、自身の子どもを入所させられることです。
事業者内に保育施設があれば、各自治体から運営費や施設設備として補助金が支給されます。
現場で働くスタッフの子どもも利用できるほか、補助員が支給されることによって安定した施設運営が可能になります。
また、多様性のある関係を築けるのは、複合施設ならではの魅力です。
従来の介護施設であれば高齢者同士の交流、介護スタッフとの交流のみでしたが、複合されることによって、児童と交流する場が設けられます。
従来の介護施設で生活していれば関わることのなかった子どもたちと交流することで、変化に富んだ日々を送れるようになります。
さらに、高齢者、スタッフだけではなく、子どもが得られるメリットも非常に大きいです。
人生経験が豊富な高齢者とのコミュニケーションを通じて、マナーが身に付いたり、幅広い知識が得られたりと、幼老複合施設ならではの魅力があります。
従来の介護施設では得られなかった経験や知識が身に付くことにより、より質の高いサービスを提供できるようになることも大きなメリットです。
・デメリット
一方、幼老複合施設にはデメリットもあります。
複合施設で働くスタッフは、介護と保育の両方の知識が求められることにより、従来よりも負担が増してしまう可能性があることが懸念されています。
また、同じ空間を共有することによって、感染症のリスクや不慮の事故が起きてしまう恐れがあることもデメリットの一つです。
高齢者は老化により様々な身体機能が低下しているため、些細なことで思わぬ事故を招いてしまうことがあります。
子どもは活発であることから、施設内を走り回るようなことも想定できます。
そのため、スタッフはこれまで以上に注意して見守らなければいけません。
さらに、高齢者や子どもは免疫力が弱いため、常に感染症のリスクが伴います。
しっかり対策を講じていなければ、施設内の集団感染につながってしまう恐れもあるため、十分注意しなければいけません。
従来の介護施設とは異なるスタイルで運営されているため、施設の特徴を踏まえた上で働くことを考えましょう。
◆高齢者、子ども、スタッフそれぞれにいいことがある◆
異世代間の交流を図っている幼老複合施設は、高齢者、子ども、スタッフそれぞれが大きなメリットを得られます。
日々新しい出会いがあり、様々なことに対して興味を示す子どもたちの、「見てみて!」「遊ぼう!」に応えるためには、しっかりと向き合わなければいけません。
しかし、実際のところ、仕事や家事などに追われ、十分な時間を確保できていないことがほとんどです。
そんな時こそ、高齢者の出番です。
幼老複合施設は高齢者の社会参加を図っており、子どもとの交流を通じて自分の存在価値を見出せるようになります。
「自分にできることがある」と思うことによって、生活の質が向上し、生きることの楽しさを感じられるようになります。
また、共に人員不足が大きな課題となっている介護業界、保育業界が手を取り合うことによって、足りていない部分を補えるようになります。
これまでにはなかった新たなスタイルの施設を導入することによって、入居者の満足度が高まり、スタッフも豊富な経験が積めるようになるのです。
幼老複合施設は全国的にみてもまだ少ないですが、未来を見据えた取り組みとして注目度が高まっている施設です。
施設を利用する世代の幅が広がることで大変な部分もありますが、得られるものはそれ以上に大きいと言えます。
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