高齢者のQOL
2020.03.09掲載
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業界用語

QOL クオリティオブライフ 生活の質のことです。超高齢社会に突入した日本では、健康寿命(自立して生活できる時期)を延ばして、生涯にわたって活き活きとした生活が送れるように、高齢者のQOLを高めることが必要とされています。健康状態、経済状態、社会的環境、生活環境といった客観的な評価と、個人の充実感や満足度などの主観的な評価のいくつかの定義があり、それぞれ単独で定義する場合や、組み合わせて定義する場合など7つのパターンがあるとされています。

健康状態 体力や認知力の向上、ADL(日常生活動作)・IADL(手段的日常生活動作)の自立度を高めること。

経済状態 世帯の所得や貯蓄が十分であることや就業していること。

社会的環境 地域活動やボランティア活動などの社会的参加を行うこと、趣味や習い事などの生涯学習を行っていること、スポーツや運動に取り組んでいること。

生活環境 安定した住まいが持てること、家屋内の状態や住まいの周囲の環境が安心・安全であること、近所に頼れる身内や知り合いがいること。

主観的な評価で捉えることのできるQOL

1 日々の生活を送る中で四季の変化を楽しむ、旬のものを食べるなど、些細な楽しみを見出して穏やかな生活を送ることに価値を見出す人

2 仕事をして社会的な貢献をすることや社会的地位に立つことで充実感を得ている人

3 地域活動への参加を通して地域とのつながりを築いて将来の安心を得る方

4 趣味活動で人生が豊かになる人

5 スポーツや運動で自分の健康を増進している人

高齢者が生きがいを感じる時

高齢者が生きがいを感じる時は、「子供や孫など家族との団らんの時(46.9%)」、「趣味に熱中している時(42.47%)」、「おいしい物を食べている時(41.3%)」、「テレビを見たり、ラジオを聞いている時(38.6%)」、「友人や知人と食事、雑談している時(38.5%)」、「旅行に行っている時(36.1%)」の割合が高くなっています

高齢者のQOLを高めるためには

高齢者のQOLを高める場合には、リハビリテーションや経済的支援、生活環境の整備など、高齢者の個人的な自立度を高めるための対策を行い、生活の快適さ、利便さを追求することが考えられます。

 QOLを個人のニーズによるものとした場合には、まずは、高齢者自身が生活に生きがいを見出すことが必要です。生きがいを見出せる活動としては、仕事や社会的な活動があげられます。

 内閣府の平成28(2016)年に公表した高齢者の経済・生活環境に関する調査結果(全体版)によると高齢者が社会活動を始めたきっかけを見てみると、「自治会、町内会の誘い(45.7%)」、「友人、仲間のすすめ(20.8%)」の割合が高くなっています。

 また、社会的な活動で役に立っていることは「コミュニケーション能力(40.3%)」、「地域住民や地域生活に関する情報、知識(40.7%)」、「趣味や仕事で得た資格や知識、技術」の割合が多くなっています。

 また、活動を始めた時期は、「40代より以前(29.9%)」、「50代(20.0%)」、「60代(28.4%)」であり3)、高齢者となる前から地域とのつながりや社会的な参加、趣味や仕事を持っていることが、高齢期以降の生きがいにつながるといった見方ができます。